光回線の速度問題

光回線の速度問題を解説

光回線のイメージ画像

インターネットの光回線の速度について、地域や時間帯による速度の変化が様々に取り沙汰されていますが、その根底にある問題と原因を考察し、解説しています。
参考資料として、総務省のページから「加入光ファイバに係る接続制度の在り方について」やNTTの公開情報を参考にしながら、筆者が実際に光回線設置工事の現場作業員から技術的な情報を得てお伝えしています。

光ファイバーの加入者への割り振り

加入光ファイバに係る接続制度の在り方について」総務省のWEbサイトから引用

○ NTT東西は、戸建て向けFTTHサービスについて、主端末回線を分岐する「スプリッタ」を電柱に設置し、1芯線の主端末回線に最大8契約者を収容している。

○ 1つのスプリッタがカバーする地理的範囲はNTT東西が決定しており、「光配線区画」と呼ばれ、1区画に40~50世帯が存在している。
異なる区画に属する契約者は、同一の芯線に収容することができず、1芯線に収容できる潜在的な契約者の数が制約される。


上記の内容について解説すると、「スプリッタ」とは電柱上に設置されている「光クロージャ」と呼ばれる端子箱の中に組み込まれている光ファイバーを分岐させる装置の事で、光コネクターで接続出来るようになっています。

電柱に架設されている光ファイバーは、そもそもNTTの局舎内ですでに4分岐された内の1本が電柱上の心線1本に割り当てられており、それを最大で8分岐させて、最終的に加入者に引き込まれます。つまり、おおもとの1本の光ファイバーは最大で32回線に分岐されていることになります。
しかし、実際の末端の現場では必ず8分岐されているわけではなく、状況によってはより少ない収容数となっている場合があります。

そのことは、上記の二つ目の項目にある「異なる区画に属する契約者は、同一の芯線に収容することができず、1芯線に収容できる潜在的な契約者の数が制約される。」という内容に現れており、NTT側の理想通りには行かないようですが、我々ユーザーにとってはラッキーな事と言えるかもしれません。
なぜなら、加入者が少ないほど回線の混雑が少ないので、より速度の点で有利だからです。

これは余談ですが、ある工事作業員の現場での経験談によると、「オプションの光電話や光TVなどを契約している加入者がいる場合、帯域の問題があるのか、回線の空をとっておく事がある。」という話を聞いたことがあります。あくまでも非公式な情報であり、工事作業員の憶測でもありますが・・・。
これは、1本の光ファイバーを共用しているからこその、面白い話しではあります。

光ファイバーの性能について

中継光ファイバ設備に関する情報 (NTT東日本 企業情報から引用)

光ファイバ及びコネクタの種類

①光ファイバの種類
SMファイバ(1.3μm):石英系シングルモード1310nmゼロ分散形光ファイバ素線9.3/125(JIS C6835 SSMA-9.3/125)相当
DSMファイバ(1.5μm):石英系シングルモード1550nmゼロ分散形光ファイバ素線8/125(JIS C6835 SSMB-8/125)相当

②コネクタの種類
SCコネクタ:F04形単芯光ファイバコネクタ(JIS C 5973)相当
FCコネクタ:F01形単芯光ファイバコネクタ(JIS C 5970)相当
注)光ファイバ及びコネクタの種類については、ご利用する光ファイバ設備によるため、個別に調査が必要になります。

加入者光ファイバ設備に関する情報 (NTT東日本 企業情報から引用)
光ファイバ及びコネクタの種類
①光ファイバの種類
SMファイバ(1.3μm):石英系シングルモード1310nmゼロ分散形光ファイバ素線9.3/125(JIS C6835 SSMA-9.3/125)
②コネクタの種類
SC又はSC2コネクタ:F04形単芯光ファイバコネクタ(JIS C 5973)相当
FCコネクタ:F01形単芯光ファイバコネクタ(JIS C 5970)相当
2MPOコネクタ:F13形多芯光ファイバコネクタ(JIS C5987)相当
注)ご利用区間の光ファイバ及びコネクタの種類については、光ファイバ設備毎になるため、個別に調査が必要になります。調査の結果、ごく稀に上記の種類以外の場合があります。その際には、技術的条件を合わせて提示いたします。

光ファイバーコネクターの画像

上記の表を見ても、一般のユーザーには何の事か分からないかも知れませんが、あえてNTTが公表している情報があるという事で掲載しました。
このデータを基に解説すると、中継光ファイバとはNTT局舎間の中継回線に使用される光ファイバーの事で、加入者光ファイバーとはNTT局舎からユーザーの宅内までの回線の事です。

これを見ると、光ファイバーや光コネクターは必ずしも同じものが使用されておらず、また、敷設された年代により、使用されている光ファイバー及びコネクターの性能に差がある事は推測されます。
また、接続に使用する機器や工事作業者によっても多少の技術的な熟練の差があるものと考えられます。
特に、接続に関しては、その接続損失を必ず測定していますが、わずかな違いが積み重なって性能に影響が出る場合も考えられます。

これらの要因が積み重なって回線の速度や安定度に影響が出る事も考えられるでしょう。また、光回線設備の経年劣化も無視できません。
以上のような理由から、光回線の性能は地域によって微妙に異なる事が理解出来るでしょう。

資料/フレッツ光の速度問題

NTTフレッツの網終端装置イメージ画像

フレッツ光【網終端装置(NTE)の仕様】
網終端装置(NTE)の仕様(輻輳の原因・例)
• 網終端装置は、数千〜1万の利用者で1Gbps の網終端装置を共有します。
• 装置のトラフィックが輻輳しても、収容利用者数が下記の「②増設基準セッション数」に達していない場合は設備増強されません。

輻輳(混雑)の原因
• 多くのプロバイダは「トラフィック」が輻輳しないように設備を増強しています。
• 対して、NTT東⻄殿の網終端装置はトラフィックでなく「収容されるユーザ*の数」を基準にしていることから、トラフィックの輻輳にかかわらずユーザ数を満たさないと増強しないという考え方です。


【資料及び画像の参照元】 一般社団法人 日本インターネットプロバイダー協会 http://jaipa.or.jp/ ●上記の資料は日本インターネットプロバイダー協会のウエブサイトから引用させて頂きました。

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